野口勝宏 -NOGUCHI Katsuhiro

2022年3月東中学校・吾妻中学校・猪苗代中学校の3校が統合され新校舎猪苗代中学校が竣工しました。
私と写真を結びつけてくれた母校へ48作品を贈る事ができ光栄に思います。
この花々の美しい「力」が生徒の皆さん一人ひとりの心に残り、
これからの人生をより豊かなものになること
そして、それぞれにオンリーワンの花を咲かせて欲しいと心より願っています。


新校舎寄稿文
中学に入学したての頃、写真クラブの教室に興味半分で立ち寄った。
教室の一角に作った暗室には赤いランプが一つ。引き伸ばし機に現像済みのネガフィルムをセットして印画紙に露光をかけ、それを現像液に浸すとじわじわと像が浮かび上がってきた。その瞬間、まさにつま先から頭のてっぺんまで電気が走るような感覚が体を駆けめぐった。そしてその場で迷わず写真クラブへの入部を決め、それ以来身近な家族や自然豊かな猪苗代の風景を被写体にして、勉強を忘れるほど熱心に写真を撮っていた。
ある時、撮影した祖父母の写真をとても褒められた事があった。カラー写真はまだ出始めの頃だったため、プロとレベルは違うものの、自らの手で仕上げたモノクロ写真を見て周囲の人が笑顔になって会話が弾んだことが嬉しく、少し大人の仲間入りをしたような気分にもなり、そのことがますます写真にのめり込むきっかけとなった
中学三年になると写真の世界で生きて行きたいという思いが現実味を帯びてきて、少しでも早くプロの世界に飛び込みたいと、頭の中は写真のことでいっぱいの時代だった。今思えば、私が長年にわたり写真家として生きてこられたのも、猪苗代中学校での写真との出会いと、私の幼い写真熱に寄り添ってくれた当時の先生の存在が最初の入り口だった。私と写真を結び付け、感性を育んでくれた猪苗代中学校での記憶はこれまでも、そしてこれからも私自身の人生の土台として存在し続けるに違いない。
 私と写真を結び付けてくれた母校に心から感謝の意を表したいと思う。