野口勝宏 -NOGUCHI Katsuhiro
MS&ADホールディングス
ECOM
駿河台にて「福島の花」野口勝宏写真展を2017年9月5日〜10月27日まで開催。
街を花で明るくしたい。「花の力」で人を元気にしたい。
東日本大震災の時に感じた写真家としての無力感が原動力となり「福島の花」シリーズを制作してきました。花は人の感情の深いところに触れて心のドアを開く力があります。ぼんやりと作品の花を見つめる時、気持ちはその人自身の記憶の中の花へとリンクして、楽しかったことや悲しかったことへと想いがつながっていくことと思います。
作品中の花々は、福島県内各地の方々の協力をいただいて撮影しています。花卉(かき)の生産をしている方や、畑仕事のかたわら庭先で様々な花を育てて楽しんでいる知り合いの方、市町村関係者や果樹農家、私有地を解放して花を楽しんでもらっている方など実に様々です。花の提供をお願いする中でいつも感じるのは、花からもたらされるおだやかで幸せな時間をみなさんがそれぞれに持っているということです。花や草木の話をする時、その人の顔にも花と同じような笑顔がこぼれ、初めて会ったような気がしない親しみが湧いてきて私まで楽しい気持ちになります。
花の協力をしてくれる方々や、作品を観てくださる方たちの気持ちに応えたいという写真家としての想い、そして気持ちがぶれそうになった時に、花が教えてくれるまっすぐで美しいもの。私を取り巻くいろいろなものが創作を後押ししてくれます。
言葉を持たず、静かにただひたすらに咲く花が時に強く心にせまることがあるように、私自身の作品もおだやかでありながら見知らぬ誰かに何かを語りかけるようなものであってほしいと願っています。この「福島の花」が、ひと時でも安らぎを感じて楽しい気持ちになれる、そんな一つになる事ができたならと写真家の視点から花に接して撮影を続けています。
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