銀座ニコンサロンにてニコンフォトコンテスト2014-2015受賞作品展開催。 花で街を明るくしたい。花の力で人を元気にしたい。被写体に向き合う時にいつも心の片隅にある思いです。東日本大震災と原子力事故災害が重なり平穏だった日常を大きく揺るがし、福島に住む私自身にも先の見えない不安が重くのしかかっていました。そんな中、希望の風を運んでくれたのは、いつもと変わらずに芽吹いた野辺の植物でした。大地が傷ついた混乱の春にあっても、己を失うことなくいつもと変わらずに芽吹いたその姿には、どんなに言葉を尽くしても表現できないほどの深い慈しみと澄みきった強さがあふれていました。それ以来、「福島の花」を撮影して表現していくことが私のライフワークとなりました。花の写真を見てもらうと、幼い頃の思い出や花自慢、今は亡き大切な人の記憶につながるエピソードなどがそれぞれに語られます。その時点で私の存在は花の前にはかすんでしまい、花の周りを飛び交う一匹の昆虫になってしまったような気持ちにさえなります。当初は震災の厳しい現実から目をそらしたい一心で没頭していた花の撮影でしたが、いつの頃からか花を撮ることで私自身の気持ちは穏やかに変わっていきました。やがて花を提供してくれる近隣の方たちとのつながりが生まれ、花を中心にすると皆が幸せな気持ちに変わっていくという不思議さを日々体感しています。 審査員コメント |
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